野球肩について
野球肩とは?
繰り返される投球動作によって肩が痛くなったり挙がらなくなることを総称して野球肩といます。ハンドボールやバレーボールなどオーバーヘッドスローイングをするスポーツで起こる肩障害も同様です。その原因は肩の使いすぎでインナーマッスルが疲労して肩関節が不安定になることです。関節がぐらつくために関節包や肩峰下滑液包に炎症が生じ、腱板や関節唇といった肩の重要な支持機構に損傷が生じます。
どんな診察をするのですか?
まず視診では肩関節周囲の筋肉の萎縮、肩甲骨位置の左右差などを見ます。関節可動域は肩甲骨―上腕骨間の動きを重視します。
筋力評価はインナーマッスルを中心に行います。徒手的に関節の前後、下方への不安定を調べます。
上部と後方での関節内での引っかかりやインピンジメントを見ます。
肩痛を訴えるプレーヤーは股関節、腰、肘などにも異常を認めることが多く、その部位の診察も行います。
画像診断はレントゲンで骨関節の状態を調べ、超音波検査にて筋肉など軟部組織の評価を行います。MRI検査は保存的治療で十分な改善が得られない場合に行います。
クリニックではどんな治療をするのですか?
野球肩の治療は、痛みが取れるまで投げるのを止めてシップや痛み止めで様子見ましょうではなく、痛みの原因がどこにあるかを念頭においた上でその部分を治していくために、積極的なリハビリによる保存療法が第一です。ほとんどの場合はこの保存的治療で治ります。
まず温熱療法や干渉波治療器によるマッサージにて関節の炎症や筋緊張を和らげます。炎症が強いときは関節を動かさずに、少し良くなってきたら関節を動かしながら特にインナーマッスルのトレーニングを行います。股関節や腰椎のストレッチも行います。定期的に診察を行い可動域、筋力、関節不安定性、インピンジメントなどが改善しているか確認しながらリハビリを進めていきます。2−3週目から徐々に投球練習を開始します。投球距離、回数は徐々に増やしていきます。2−3ヶ月リハビリをして治らなければ関節MRI検査を行い、手術の適応を検討します。